続・Galaxy S IIIを試す──Android携帯が通勤時に使える電子ブックリーダーに、カメラ操作もクイック
「GALAXY S III SC-06D」(以下、Galaxy S III、または S III)を借り出して試用する2度目の機会を得た。今回は、電子ブックリーダーとしての利用経験とカメラ機能を中心に報告する。第一印象やスペック、ベンチマーク結果などは前回のレポートを見て頂きたい。
Galaxy S IIIと電子ブックリーダーアプリ「Aldiko Book Reader」を使い『ケヴィン・ケリー著作選集1』を表示させたところ
前回の「おさらい」の意味を兼ねてGalaxy S IIIのポイントを記すと、4.8インチの大画面の割に薄型軽量で持ちやすく、最新のAndroid4.0.x搭載で、安定して使いやすい端末と言っていいと思う。当たり前の話と思われるかもしれないが、大きな違和感なく安心して使えるAndroid端末とそうでない端末とでは、まったく利用感、印象が異なる。違和感なく使えることは、それだけ細部の仕上げ、特にソフトウエア的な挙動の仕上げがよく出来ているということだ。
なお、借り出した機種はSIMカードがない状態だったので、NTTドコモとの契約が必要なサービスは今回は試していない。ただし素のAndroid端末として見ても、S IIIは変なクセがなく安心して使える端末といっていいと思う。唯一「あれ?」と思った点は後述するb-mobile SIMとの相性だった。
カメラ機能は、操作がよりクイックに
今回の試用ではカメラ機能も積極的に試してみた。第一印象はカメラ操作が以前の機種に比べよりクイックになったことだ。カメラの起動、オートフォーカス動作、シャッターのタイムラグ、それぞれが従来機種よりも高速化された印象がある。スマートフォンのカメラといえば、「ゆっくり目の動作をするもの」という先入観があったが、S IIIのカメラは動作の迅速さが向上し、よりカメラとしての戦力が上がった感触がある。
カメラの動作が迅速な方が良い写真がたくさん撮れる。ある程度カメラに慣れた人なら、カメラのレスポンスが決定的に重要な場合が多々あることが理解できることだと思う。
夏の日
人物が入る写真ではシャッターチャンスが大事。操作性が良いカメラが有り難いのはこういう局面だ。
ビルの窓越しに撮影
ディティールの情報量が多い一枚。こうした撮影にも良く対応する。
夏の終わりの夕暮れ
空にレンズを向けたとき、デフォルト設定だとがっかりするカメラは多い。S IIIのカメラは、かなり良く空を写してくれる。
大画面を活かして電子書籍を読んでみる
今回新たに試したのは、電子書籍リーダーとしての使い方だ。
まず、電子書籍の入手が必要だ。「達人出版会」は、DRMフリーのPDF形式、ePub形式により電子書籍を販売している。今回は、同社のラインナップの中から、無償で公開中の『ケヴィン・ケリー著作選集1』を入手して読んでみた。Webサイトでメールアドレスとパスワードを登録するだけで、ダウンロードすることができる。
ePub形式の電子書籍を読めるAndroidアプリとして、今回は「Aldiko Book Reader」と「Himawari Reader」を試してみた。ファイルの受け渡しにはDropboxアプリを使った。PC上で入手したePub形式ファイルをDropboxのフォルダに置き、S IIIのDropboxアプリからファイルをタップすると、S III上のAldikoにインポートするか、Himawari Readerで読むかを聞いてくる(写真)。
DropboxアプリからePubファイルを開こうとしている画面
Aldiko Book Readerは、画面サイズいっぱいに、好みのフォントサイズで表示させることができる。操作用のボタンなどは表示されていないが、画面の右端をタップする操作でページを進めることができる。横画面(ランドスケープ)を指定することもできる。S IIIの画面サイズは4.8インチだが、このサイズの場合は縦画面より横画面の方が読みやすい場合もあるかもしれない。
Aldiko Book Readerで表示させたところ
Himawari Readerは、外部フォントを使う機能がある。Himawari +IPAex明朝をインストールして、フォントを明朝体にして表示させてみた(写真)。かなり印象が変わることが分かると思う。
『ケヴィン・ケリー著作選集1』のように、流し読みするのではなく、考えながら読書をしたいコンテンツの場合、リーダーアプリAldiko Book Readerのシンプルな画面と操作は悪くなかった。より多くのテキストを一度に見渡せる一覧性という点ではタブレット端末や専用の電子ブックリーダーには及ばないかもしれないが、4.8インチ画面のS IIIは電車の中で立ったままでもテキストをどんどん読める。通勤中にテキストを読むような用途には、必要十分な機能ではないかと感じる。
一方、Himawari Readerは、明朝体フォントを使える点で別の魅力がある。操作ボタンを常時表示するため、画面サイズは狭くなる。この点は好き好きだろう。
b-mobile 4G SIMとS IIIではLTE通信ができない?
ところで、今回は使っていて「おや?」と思う事があった。SIMカードなしの状態で借り出した機種なので、日本通信のb-mobile 4G SIM(マイクロSIMタイプ)を装着して使ってみたのだが、LTEの電波をうまく掴んでくれないのだ。
NTTドコモのLTEサービスXi(クロッシィ)のエリア内で使っても、LTEではなく、3G(FOMAハイスピード)を示すインジケータが表示される。日本通信のWebサイトで調べてみると、b-mobile 4G SIMの動作確認機種の中にGalaxy S IIIは入っていないことが分かった(本来は、動作確認機種リストにあることを確認してから使うべきだったのだが・・)。
b-mobile 4GとNTTドコモ版Galaxy S III(SC-06D)の「白ロム」の組み合わせで使いたいと考えている人は、念のために日本通信が動作確認機種リストにS IIIを入れるのを待つか、対応状況を問い合わせをした上で使った方が良いだろう。もちろん、これはあくまでも借り出した個体で日本通信のSIMを使う場合に遭遇した現象で、NTTドコモと契約した端末を利用する場合にはこの問題を気にする必要はないだろう。また、日本通信のb-mobile 4G SIMを装着した場合、LTEではなく3Gでの通信は可能だった。
以上、Galaxy S IIIの2回目の試用についてレポートした。大画面、シンプルで安定した使い勝手、よりクイックな操作性のカメラ機能の組み合わせは、日常使いの端末として良いポジションにある機種といっていいだろう。
関連リンク:
GALAXY S III
SAMSUNG mobile 総合サイト
公式Facebook
今回評価したGalaxy S IIIのバージョン。前回試用したバージョンとはビルド番号が異なる(IMM76D.SC06DOMALG6)
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「Galaxy S III」を試す──違和感なく日常的に使える大画面高速機
(注1) 今回の記事は、広告代理店から端末を借り受けて書いた。その意味で完全に中立な記事ではないと考える人がいるかもしれない。筆者としては、執筆の基準は他の商業Web媒体と変えずに書いたつもりである。
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