Windows Phone8発表で、今どきのスマートフォンではモダンなOSカーネルが当たり前になった
2012年6月20日、MicrosoftはWindfows Phone 8を発表しました。公式Blogでは、この新バージョンの特徴として「Windows 8と同じコア・テクノロジ」を採用したことを挙げています。
その意味を考えてみましょう。
まずWindows Phone 8発表の情報源です。次の記事が参考になります。
- Announcing Windows Phone 8 - Windows Phone Blog(公式Blog)
- マイクロソフト Windows Phone 8発表。Windows 8とカーネル共有、64コアまで対応(Engadget)
- ソフトウェア開発者にメッセージを打ち出すWindows Phone 8 - 後藤弘茂のWeekly海外ニュース(PC Watch)
公式Blogの記事で最初に強調されているのは、Windows Phone 8が、Windows 8と「同じコア・テクノロジ」をベースとする、という記述です。
つまり従来のWindows Phoneが採用していたWinodws CEカーネルを捨て、Windows NT系カーネルを採用したのです。
Windows Phone 8のNT系カーネル採用により、最新のスマートフォンOSのカーネル技術は次のようになります。
- iOSは、MacOS Xと共通のMachカーネルを採用
- Androidは、LinuxカーネルとDalvik仮想マシンの組み合わせ
- Windows Phone8は、Windows 8と共通のWindows NT系カーネルを採用
最新のスマートフォンOSが、すべてモダンなOSカーネルを採用した格好になります。マルチコアのサポート(Windows Phone 8の場合は「64コア」まで)や、現代的なプロセス(タスク)管理といった特性が、スマートフォンでも当たり前のように利用できるようになります。
少し前までのスマートフォンでは、SymbianやWindows CE系のように、「組み込み系=リソースが限られる計算機」を前提としたOSが使われていたのですが、今どきのスマートフォンは1GHz動作のARMコアや512Mバイト以上のメモリが当たり前となっています。モダンなOSカーネルを採用することは、もはや大胆なことではなく、普通の事になってしまいました。
歴史的には、UNIXよりも軽量なOSを目指した研究開発がブームになった時期もあるのですが、結局の所、UNIXの一族と(LinuxはUNIXクローンとして誕生・成長したOSですし、Machも結局はUNIXクローンとして使われています)、それに対抗したWindows NT系がスマートフォンの世界でも幅をきかせるようになりました。
手のひらに収まるスマートフォンで、Machカーネル、Linuxカーネル、Windows NTカーネルが動いている──こんな話を20年前の自分に聞かせても、「進歩がないね」などと言われそうな気がします。MachもLinuxもWindows NTカーネルも十分に良く役割を果たしているので、苦労して代替品を作る気にもならない、というのが本当のところでしょう。
そして、Windows NT系カーネルを採用したことによるメリットだけでなく、その上のレイヤーでどれだけ勝負できるかが、Windows Phone 8の今後を決めることになるのでしょう。
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