HTML5アプリがサクサク動く、サムスンが披露したTizen搭載スマートフォン実機のデモを見る
サムスン、Intelらが推進するスマートフォン向け新OSであるTizenの開発者向けカンファレンス「Tizen Developer Conference」が、米サンフランシスコで、5月7日〜9日にかけて開催されています。それに伴い、Tizenの最新像に関する情報が次々と公開されています。
A Detailed Look At Tizen on Samsung’s First Prototype Device - The Handheld Blogには、このカンファレンスの現場でサムスン製のTizen搭載スマートフォンのプロトタイプ実機を操作する動画(下記参照)が掲載されています。
動画で見る限り、通知パネルの開閉、ブラウザの拡大縮小、地図アプリの動作など、各種UI操作はおおむね快適そうに見えます。
今回公開されたTizen搭載スマートフォンは、Android搭載の最新機種と同等のスペックを持ちます。Tizen Developer Smartphone Device Spotted (updated) - Tizen Talkによれば、プロトタイプのスペックは以下のようになっています(細部には追って訂正が入るかもしれません)。
- デュアルコア、1.2GHz動作Cortex A9
- 4.65インチSuper AMOLED
- 1GB RAM
- 16GB ストレージ
- 8Mピクセルの背面カメラ
- 2Mピクセルのフロントカメラ
- micro USB端子
- WiFI
- GPS
- Tizen1.0搭載
- 対応フォーマットはMP3、AAC、AAC+、MPEG-4、H.263、H.264
こうして見ると、このプロトタイプはサムスン製AndroidスマートフォンのGalaxy Nexusに近い内容です。
サムスンはAndroidスマートフォンの最大手で、Android搭載機のヒットにより世界最大の携帯電話メーカーの地位を獲得した訳ですが、Android以外のソフトウエア・プラットフォームも同時に手がける姿勢です。その一つとしてサムスンが独自開発した「Bada」があり、その後継としてTizenを位置づけます。Googleが支配的な力を持つAndroidに比べると、Tizenはサムスンにとってよりコントロールが効くプラットフォームといえます。現時点でのサムスンの稼ぎ頭はAndroid搭載スマートフォンですが、上の動画を見てもTizenに相当の開発リソースを注いでいる様子が伝わってきます。
今のiOSやAndroidの開発スタイルは、プラットフォームで使われているプログラミング言語とフレームワークを用いてネイティブアプリを開発するスタイルです(Dalvik仮想マシンの上で動くAndroidアプリをネイティブと呼ぶのはおかしい、という人もいますが)。アプリケーションをHTML5で記述してWebViewで動かすスタイルのアプリや、JavaScriptや他のスクリプト言語でスマートフォンアプリを開発できるツールも登場していますが、今のところ主流とはいえません。
一方、Tizenではハードウエア・アクセラレーションを効かせて高速化したプラットフォームの上でHTML5アプリを動かす、というコンセプトを打ち出しています。下記の動画(Tizen Developer Conferenceに参加されたGClue佐々木陽さん提供)を見ると、HTML5アプリがサクサクと動いています。
今後のスマートフォンアプリの技術動向を見る上で、HTML5指向のTizenが完成度が高まりつつあるということは興味深いと思います。
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