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App StoreからScratchが削除された後、開発チームは何をしたのか

2010年4月、子ども向けプログラミング環境「Scratch」のアプリが、AppleのApp Storeから削除されました。この事件はWired、New York Timesなどのメディアが取り上げ、大きな反響を呼びました。

この事件がその後どのような経過をたどったのか。次のWebページに記されています。

Scratch, a Story for iPhone & iPad

淡々とした年表形式の簡潔なページなのですが、開発チームの心境の変化、徒労感が伝わってくるかのような内容です。その一部を紹介します。

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  • 2010年4月14日、iOS版ScratchがApp Storeから削除される
  • 同じ日の晩、開発チームはApple CEO(当時)のSteve Jobs氏にメールを打つ。両者のメール交換が始まる。
  • 4月20日、WiredとNew York Timesに記事が載る
  • 4月29日、Steve Jobs氏はFlashに関する文章 Thoughts on Flash を発表
  • 6月7日 Appleはライセンス契約を変更、インタプリタ言語の使用を認める
  • 6月8日 開発者会議WWDCにおいて、Scratch開発チームはAppleのマネージャを捕まえて話し込む。
  • 7月〜8月 iOS版Scratch開発チームとAppleの間で議論が続く
  • 9月 Appleはライセンス契約を再度変更したが、「ダウンロードしたスクリプトを認める」との文言は入らず
  • 10月 Steve Jobs氏と再度のメール交換。「Sorry」との言葉をもらう。iOS版Scratch開発チームは、プロジェクトの目標を WorldPulse などに変更

iOS版ScratchがApp Storeから削除された理由は、Scratchの本質が、「インターネットからダウンロードしたスクリプト言語をインタプリタ形式で動かすアプリ」であったことによります。Appleは、主にFlashを排除する目的から、「iPhoneアプリには、Apple社のもの以外のコード・インタプリタを含めてはならない」との規約を設け、このようなアプリの配布を禁じていました。

故Steve Jobs氏に大きな影響を与えたコンピュータ科学者のAlan Kay氏は、Wiredの記事に次のようなコメントを寄せています。「子供もインターネットも、Apple社よりも大きなものだ。世界の子供達にとって良いものは、どこの上でも稼働できる必要がある」。Scratchは、Alan Kay氏が開発したSqueak環境の流れをくむプログラミング環境でもあります。

iOS版Scratchの開発チームは半年にわたりAppleと交渉を続けました。Appleは「インタプリタ言語の利用は認める」よう規約を改定しましたが、ダウンロードしたスクリプトを認めることはなく、iOS版Scratchが復活することはありませんでした。こうして、iOS版Scratchの開発チームはプロジェクトの目標を変更したのです。

iOS版Scratch開発チームが交渉したおかげで、iOSの上では「Apple社のもの以外」の言語も、ダウンロードされたものでない限り利用可能になりました。今では、Titaniumのようなスクリプト言語でiOSアプリを開発するツールがいくつも登場しています。この種のツールも、「JavaFXのiOS版」も、古い規約では却下されたはずです。

訂正と追記:
記事中の表現を"Scratch開発チーム"から"iOS版Scratch開発チーム"へ、"Squeak言語"から"Squeak環境"に改めました。

iOS版Scratchは、MIT Media LabのScratch Teamとは違いJohn M. McIntosh氏の個人プロジェクトと見た方が実態に近いとのご指摘をいただきました。元記事は主語を"We"で統一していることを尊重し、この記事ではMIT Media LabのScratch Teamとは区別するため"iOS版Scratch開発チーム"と表現することにしました。

追記:
iOS版Scratchはオープンソースで公開中であることを教えて頂きました。

続・iOS版Scratch──オープンソースで公開中、セルフビルドできれば利用可能です

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