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リアルタイムWebを圧倒的な手軽さで構築できるフレームワークMeteorは「未来のメディアコンテナ」を作る道具になるだろう

リアルタイムなWebアプリケーションを作るためのフレームワーク「 Meteor」が、先端的なWebプログラミングに関心を持つ人たちの間で大きな話題になっています。

上のBlog群で皆さん「驚き」を表現しています。確かに、このMeteor、ちょっと触ってみると「凄い」と感じます。

いわば「未来のWeb」を、しかも常識外れの簡単さでプログラミングできるようにしている点です。

  • 簡単:インストールはコマンド1行。アプリのファイルはHTMLとCSSとJavaScriptの3ファイルのみ。アカウント設定なしにクラウド上にデプロイできる! 高度なWebインフラのスキルがなくても、相当の事ができそうです。
  • リアルタイム:リロード操作などをしなくても、サーバー側の変更は直ちにブラウザ側に反映されます。
  • 先進的:プログラミングモデルとして「Reactive Programming」の概念を、ブラウザ-サーバー間の通信のためHTML5世代の新技術WebSocketを用いています。

このMeteorを見て、まず思い出すのはEtherpadです。Etherpadは「リアルタイムなWiki」のような先進的なサービスでした。Meteorの発足を報じたTechCrunchの記事

には次の一節があります。

(Meteror設立者の一人)David GreenspanはEtherpadを作ってGoogleに売り、その後Google WaveとGoogle App Engineを手がけた。GreenspanはAppJetのファウンダでもある。

実は、2008年にEtherpadが登場したとき、「やられた!」と思いました。当時「コラボレーティブなメディアコンテナ」について試行錯誤をしていたのです([回想] メディアの「入れ物」をめぐる試行錯誤)。この時期、私はWeb上の「編集エンジン」の試みに対して過敏になっていました。リアルタイムという特性は編集エンジンとして理想だが、まだ時期尚早だろう・・私はそんな「ぬるい」事を考えていました。

そんな時に登場したEtherpadは「リアルタイムでコラボレーティブ」なサービスとして仕上がっていました。リアルタイムなWikiが出たら、こうなるだろう、そんな内容でした。

やがてEtherpadをGoogleが買収。その後、リアルタイム&インタラクティブ&コラボレーティブ」の権化のようなGoogle Waveが登場しましたが、1年で打ち切りになりました(Google WaveはWikiをもっと学ぶべき、だった──『Google Wave入門』と『パターン、Wiki、XP』から考える)。

そして2012年に登場したMeteorは、リアルタイムなサービスを手軽に作れるフレームワークです。技術的に難易度が高かった「リアルタイム」の部分をフレームワークが吸収してくれると、その上で実験的な試みがいろいろ登場しそうな予感がします。

今、TwitterやFacebookやGoogle+で実現しているような「リアルタイムな情報共有エンジン」、あるいはEtherpadやGoogle Waveのような「リアルタイムなコラボレーティブ・エンジン」の分野で、試行錯誤が続いています。試されている機能のうち、人々が本当に求めているものは、オープンソース・ソフトウエアとその利用ノウハウのような形で、誰でも利用可能になっていくんじゃないか・・そんなことを想像しました。実際、Waveはオープンソースになり、今回のMeteorもオープンソースです。

とはいえ、Meteorはまだ発足したばかりのプロジェクトなので、本格的なサービスの開発に適用する段階にはありません。ただし、アーキテクチャや実装の先進性(例えば、WebSocketを用いたリアルタイムWebであること)を見ると、意外と良くスケールしてくれそうな期待感があります。

私が最も興味があるのは、「リアルタイムWebを、インフラを気にせずに上位レイヤーで試行錯誤できる」ことです。技術的な細部をMeteorに任せて、「リアルタイムWebで何をやりたいの?」というユースケースとユーザー体験の部分に集中するなら、今までにないアプリケーション/サービスが登場する可能性は大きいでしょう。その潜在的な影響力は非常に大きいと考えています。

ちょっと風呂敷を広げると・・・

かつてアラン・ケイは「パーソナルでダイナミック(=インタラクティブ)なメディア」を構想し、数十年を経てその内容はおおむね実現しました。

そして今起こっていることは「ソーシャル、リアルタイム&コラボレーディブなメディア」の誕生なのかもしれない、と思っています。Meteorは、未来のメディアコンテナを作る試行錯誤のために使われることでしょう。

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