「Galaxy SⅡ」を2週間借りてみた──高速・大画面・薄型軽量、電子機器としての実力が高い1台
サムスン電子が製造しNTTドコモが販売するAndroidスマートフォン「Galaxy SⅡ SC-02C」を2週間、試用する機会を得た(注1)。4.3インチの大画面、1.2GHz動作のデュアルコアプロセッサを搭載しつつ、厚さ8.9mm(最厚部10.3mm)、重量120gと薄型軽量にまとまったハイスペック機である。この端末は、2週間の間、私のモバイルインターネット端末の主力として頑張ってくれた。
借り受けた「Galaxy SⅡ」評価機には日本通信の「1GB定額」のデータ通信専用SIMカードを挿して、モバイルインターネット端末の主力として使い倒した。主に利用したのは、ブラウザ、GMail、Twitter、Facebook、Google+、などソーシャルサービス、Google Map、それにカメラ機能である。Eye-Fiアプリを使い、Eye-Fi装着のデジカメから"ダイレクトモード"で画像を吸い上げる使い方もした。これらの私のニーズにこの機種はよく応えてくれた。
4.3インチの画面サイズだが、本体は薄型軽量で意外に持ちやすい。私が手に持った様子は、写真のような感じだ。私のホーム画面も写っている。Band Launcherウィジェットにアプリアイコンを集約、Band O'Clockウィジェットを時計代わりに使う。ステータスバーにはSimple Battery Statusでバッテリー残量を表示している。
以下、今回の機種への評価を書いていくのだが、その前に「お断り」を少々。スマートフォンはきわめて個人に密着したデバイスなので、ユーザーごとに使い方や評価点は異なる。私が日常的に使っているAndroid機は「Nexus S」で、主観評価についてはNexus Sと比較した印象に基づいている。また、評価機はSIMカードなしの状態で借り、データ通信専用のSIMカードを挿して使ったので、音声通話、SMS、「SPモード」などの機能は試していない。Bluetoothキーボード、ワンセグ、HDMI接続などの機能も今回は使っていない。
最も早い時期に登場したデュアルコア機
「Galaxy SⅡ SC-02C」は2011年6月23日から販売中の機種だ。登場から4カ月がたち、すでに利用中という方も多いだろうが、まずは基本的な事柄から記すことにしたい。
この機種の要注目ポイントをまとめると、次のようになる。
(1) 2011年6月23日発売と、日本で最も早い時期に登場したデュアルコア・スマートフォンである。1.2GHz動作のS5PC210デュアルコア・プロセッサを搭載する。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの2011年秋冬モデルでは「デュアルコア」の機種が勢揃いしており、また10月14日発売のiPhone4SもデュアルコアのA5プロセッサを搭載するが、それらの機種に先駆け夏モデルとして登場したGalaxy SⅡは「最も早い時期にデュアルコアを搭載した機種」として記憶に留められるだろう。
(2)4.3インチの大画面でありながら、外形寸法約126×66×8.9mm(最厚部10.3mm)、重量約120gと薄く、軽い。実際に持ち歩くと、「大画面×薄型軽量」のメリットを肌で感じることができる。搭載するバッテリーも1650mAhと大容量だ。
最新のデバイスを投入しながら薄型軽量に仕上げた。電子機器メーカーとしてのがんばりを見せてくれた機種と言っていいだろう。
ベンチマークでは図抜けたスコアを示す
ベンチマーク結果を見てみよう。Androidスマートフォンの総合的な性能を測定するQuadrant Standardベンチマークの結果は3472という数字だ。スマートフォンの中でも図抜けた数字といえる。マルチタッチ認識点数は10点まで確認した。4.3インチ画面の端末で10点認識とは、過剰ともいえる性能だ。全体として、最高水準の性能と言ってよいだろう。
高速プロセッサのメリットがよく感じられたのは、アプリのインストールがすぐ終わること、それにFlashを使ったWebサイトの閲覧が軽く感じられることだ。私が従来使っていたNexus Sでは、Flashを使うWebサイトを閲覧するときに「待たされる」印象があったが、Galaxy SⅡでは待ち時間が大幅に短くなった。Flashを使うサイトをよく閲覧するユーザーには、SⅡはお薦めできる。
「電池の持ち」を気にするユーザーは多いだろうが、これは使い方しだいだろう。ブラウザを使いまくっているとみるみるバッテリー残量は減っていくが、これは他の機種も同様だ。スタンバイ状態では、1日程度放置しても問題ない。私は、ヘビーな使い方をする場合にはモバイルバッテリーを充電しながら使うというやり方で、この2週間を乗り切った。
大画面、薄型、軽量の機種は、やっぱり快適だった
2週間の試用期間で感じたことは「薄型・大画面・高速は、やっぱり快適」。当たり前といえば当たり前だが、大画面で高速のスマートフォンは、文字の入力も容易で情報も読み取りやすく、しかも本体が軽量だ。全体に「自分の戦闘能力が強化された」という印象を受ける。
ディスプレイについては、ちょっと言いたいことがある。開発元のサムスン電子は、Galaxyシリーズの説明では、まずディスプレイ技術を強調する場合が多い。搭載するのは「SUPER AMOLED Plusディスプレイ(スーパー有機EL)」で、実際、最大輝度では目が痛いほど明るく、コントラストも強く、非常に鮮明なディスプレイである。明るすぎるので、私は照度を落として使う場合が多かった。これは少数派の要望なのかもしれないが、Galaxyシリーズのディスプレイは最低照度でもまだ明るすぎるので、もっと暗くできるよう調整の幅を広げて欲しいと感じている。
カメラ機能は、800万画素CMOSセンサー搭載のメインカメラと、200万画素のサブカメラ(インカメラ)がある。写りはおおむね良好だった。サンプルとして作例写真を挙げておく。Exifのデータを見ると、F2.6とレンズの口径が大きい。画角はかなり広角だが、作例の1枚目のように対象に近寄れば背景をボカすこともできる。ムービー撮影の機能も強力で、フルHD動画を撮ることができる。
気になったこととして、試用開始の直後はGoogle Mapの位置測定の誤差が大きいという現象に遭遇した。新宿駅付近、半蔵門駅付近、小金井市などで利用したが、150m程度の誤差が頻繁に生じていた。ただし、意図的に測位に時間をかけて利用しているうちに、誤差は実用上問題ない程度にまで収束した。理由は不明である。GPS以外の手段(WiFiなど)による測位と、GPSによる測位との間の誤差を補正するのに時間が必要だったのかもしれない。また、試用期間中にファームウェアのアップデートを行ったため、それによる影響もあるかもしれない。
強力で実用的、電子機器としての実力が高い1台
GALAXY S II は日本での発売からすでに4カ月が経過しており、この10月18日には、その強化版にあたる「docomo NEXT series GALAXY S II LTE SC-03D」が発表されている。また、10月19日には、米Googleとサムスン電子の合作である「Galaxy Nexus」が発表されている。話題性という意味では新しい端末に注意が向いている方々も多いだろう。
とはいえ、現時点で見てもデュアルコア・プロセッサと4.3インチディスプレイを120gの本体にまとめあげたGalaxy SⅡは、いぜんハイスペックな機種だ。「SII」の感想を一言に集約すれば、「ハイスペックと実用性が両立していて、電子機器としてがんばった機種だなあ」と思う。その半面で「遊び心」や「愛嬌」の要素がやや欠けているとも感じる。ただ、Galaxyシリーズの持ち味は、そうした「電子機器としての実力」で真っ向から勝負している所なのだろうとも思う。
SAMSUNG mobile JAPAN オフィシャルサイト
(注1)
今回の記事は、広告代理店から端末を借り受けて書いた。その意味で完全に中立な記事とはいえないと思われるかもしれないが、執筆の基準は他のWeb媒体と変えずに書いた。私は、今までITジャーナリストとしてAndroid端末のレビューを何本か書いてきた。過去に書いた記事には、以下のようなものがある。これらの仕事が今回のオファーにつながったのだろう。
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