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Ruby2.0の足音

2010年8月29日、まつもとゆきひろ氏による日本Ruby会議2010(RubyKaigi2010)キーノートを、諸事情によりストリーミングで聴いた。現地に居合わせてその場の空気を感じることができなかったのは残念だが、とても品質が良い中継だった。録画も公開されている

このRubyKaigiの直前、8月19日に Ruby1.9.2がリリースされた。そして、この日のまつもとゆきひろ氏のキーノートでは「Ruby2.0」が主題であった。

「Ruby1.8からRuby1.9へのジャンプは大きかった。Ruby2.0で付け加えるものはさほどない」。そこで、現状のtrunkの上でRuby2.0はまもなく開発が始められる。あるいは、最新のRunyが「Ruby1.9.3という名前ではなくRuby2.0で出ることもありうる」。Ruby2.0は、予想外に近い距離にあるように思える発言である。

Ruby2.0に入れたい機能として、まつもと氏が力を入れて説明したのは、「Trait」ライクな新機能の導入である(WikipediaMatzにっき)。Rubyのクラスとモジュールに「mix」というメソッドを追加する。「mix <モジュール名>」と書けば、当該モジュールのメソッドを全部コピーする。

Rubyでは、多重継承の代替としてMix-inという機能が提供されている。「include <モジュール名> 」と書くと、当該モジュールのメソッドを再利用できる。ただし、今のMix-inは名前の衝突が起きたときの解決が面倒だという。新たに導入するmixでは、名前の衝突はエラーになるため「偶然名前が重なって意図しない行いになることはない」。

mixは、将来的にはincludeを置き換えていく役割が期待されている。利用イメージとしては、Ruby on Railsのように多重継承を多用するフレームワークを、よりシンプルに記述できるようになるらしい。「皆さんの反対がなければ、これをRuby2.0の第一歩にしたい」。おそらく、これから議論がメーリングリストで開始されることになる。

2006年のRuby会議では、「Ruby 2.0 は燃料。我々は走り続けなければいけない」という発言があった。燃料は少しずつ投入されていき、Rubyは走り続けている。生きているプロジェクトには、燃料が必要だ。

Rubyの開発チームや、RubyKaigiの主催団体の一つ(というより母体)である「日本Rubyの会」は、常にコミュニティのリソースの乏しさを嘆いている。が、客観的に見るとRubyは才能を引きつけており、Rubyをウォッチすることで、数々の新しい動向が見えるようになっている。RubyKaigiの周りに起きている情報、それに情熱の渦には、大変な価値があるように思われる。

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