Oracleの対Google訴訟、Googleは公式声明で反論、Javaの父James GoslingはBlogで嘆く
例えば、TechCrunch、Engadgetにはその全文が掲載されている。短い文章でもあり、またより多くの人が知るべき情報(=報道すべき情報)と考えられるため、以下に全文を引用する。
We are disappointed Oracle has chosen to attack both Google and the open-source Java community with this baseless lawsuit. The open-source Java community goes beyond any one corporation and works every day to make the web a better place. We will strongly defend open-source standards and will continue to work with the industry to develop the Android platform.
TechCrunch日本語版の訳は淡泊で私にはちょっと物足りない。自分なりに日本語にしてみた。
Oracleが、今回の根拠のない訴訟によりGoogleとオープンソースJavaコミュニティの両方を攻撃するという選択をしたことは残念です。オープンソースJavaコミュニティは、どんな一つの企業をも越える存在であり、彼らはWebをより良い場所にするために日々働き続けています。私たちは、オープンソースのスタンダードを強力に守り続け、産業界と共にAndroidプラットフォームの開発のための努力を続けます。
この声明文には、訴訟そのものに対しては「根拠がない(baseless)」 の一言しかコメントされていない。Oracleの主張は、Androidという一種のJava代替実装が、Javaに関わる著作権とソフトウエア特許を侵害している、というものだった。この主張にGoogleがどのように対抗するか、それはこの声明文からは分からないが、おそらく全面対決となるだろう。
Java言語の設計者であるJames Gosling氏は、Blogで次のようにコメントしている。
Oracle finally filed a patent lawsuit against Google. Not a big surprise. During the integration meetings between Sun and Oracle where we were being grilled about the patent situation between Sun and Google, we could see the Oracle lawyer's eyes sparkle. Filing patent suits was never in Sun's genetic code. Alas....I hope to avoid getting dragged into the fray: they only picked one of my patents (RE38,104) to sue over.
以下は拙訳。
OracleはついにGoogleに対する特許訴訟を起こした。さほど驚くべき話ではない。SunとOracleの統合のためのミーティングの間、我々はSunとGoogleの間の特許の状況に関して尋問された。そこでOracleの弁護士の目が鋭く光っていたのを目の当たりにした。特許訴訟を起こすことはSunの遺伝子には決して含まれていない。なんたることだ・・・
私はこの争いに引きずり込まれたくない。訴訟に関わる私の特許は1件だけだ(RE38,104、注:特許の名称は"“Method And Apparatus For Resolving Data References In Generate Code")。
Gosling氏は、SunがOracleに買収されるのと前後して同社から離れている。氏の無念を想像すると、胸が痛む。
また、以前のBlogで引用したように、SunからGoogleに移り、現在はAndroidを推進する立場にあるTim Bray氏は、Twitterで「畜生、Oracleめ!」とツイートしている。
Javaのオープンソース化に向けて努力してきた元Sunのエンジニアにとって、事もあろうにソフトウエア特許に基づく訴訟がJavaをめぐって発生したことは、「痛恨」の事態だということは想像に難くない。
今回の訴訟でAndroidの普及にストップがかかる可能性があるだろうか。
声明文を見ると、Googleは正面から受けて立つ構えだ。
かつて、IBMは「LinuxはUNIXの知的所有権を侵害している」とのSCOの訴えに対して正面切って戦った。SCO訴訟へのNovellの参戦もあって、結果としてLinuxユーザーは守られた。
今回の訴訟ではオープンソース・ソフトウエアに関する知的所有権とソフトウエア特許の問題があぶりだされる可能性がある。それはIT業界の未来にも大きな影響を及ぼすことになるだろう。
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