Androidアプリで100億円を売り上げるとぶちあげるNECビッグローブ
ITproに、NECビッグローブの記者発表に基づくニュースを寄稿した。
「2012年度に売り上げ100億円を目指す」、NECビッグローブがAndroidアプリ販売を国内外で本格展開
以下はその補足である。
GoogleのAndroidマーケットの隙を突き、急成長に賭けるNECビッグローブ
NECビッグローブは、Androidアプリ/コンテンツの販売で「2012年度に100億円」という目標を掲げている。
同社の取り組みは、身も蓋もない言い方をすれば、「GoogleのAndroidマーケットの隙を突く」やり方といえる。GoogleのAndroidマーケットアプリは、現在出回っているAndroidスマートフォンには標準搭載となっており、有利な立場にある。ただし、Googleは代替マーケットの登場を歓迎するスタンスだ。またAndroidマーケットには「隙」があり、そこを突く形のビジネスには可能性がある。Androidマーケットの「隙」は、大きくは以下の各点である。
- AppleのAppStoreに比べて案内コンテンツが貧弱なこと。有料アプリの購買行動に踏み切るのに十分な情報とはいえない。
- 課金システムや、不正コピー防止の枠組みが弱い。
- タブレット型端末などスマートフォン以外のデバイスには今のところ載っていない。
NECビッグローブは、有料アプリ販売のための案内コンテンツ、課金システム、DRM(デジタル著作権管理)に力を入れている。例えば、アプリ内課金や、一定期間だけ有効なコンテンツのレンタルに対する課金も可能にする予定だ。また、アプリのアクティベーションなど、違法ダウンロードやコピーへの対策も施す。これらは、コンテンツ供給者を説得するには良い材料といえる。一方、利用者からどのように受け止められるかはまだ分からない。同社の今後のがんばりしだいだ。
スマートフォン以外のデバイスに対しては、独自開発タブレットや、中国製の多種多様なAndroidタブレットなども含め、「アプリが動くものであれば特に除外はしない」との姿勢で臨むという。
アプリ/コンテンツ類の品揃えも強化中だ。電通と組んで電子雑誌アプリMAGASTOREを載せ、電子書籍もコミックを手始めにラインナップの充実を図る。コミックについては、海外向けコンテンツとしても有望視しているようだ。
Androidの急成長に賭ける
販売目標として、「2012年度に100億円」という数字を掲げている。これを達成するには、300円のアプリ/コンテンツを、3300万本売る必要がある。
NECビッグローブは100億円のうち2割が国内市場と見ているので、日本国内では300円×660万本を売る必要がある。
NTTドコモは、2010年度に100万台のスマートフォンを売る、と言っている。その全部がAndroidではないが、一方でKDDIやソフトバンクもAndroid端末を投入している。そこで仮に日本国内のAndroidスマートフォンが2010年度に100万台とし、1年あたり2倍の成長をしたとすると、2012年度には400万台。その1台あたり1.65本の割合で300円のアプリが売れれば、国内市場での目標は達成できることになる。これはいわゆる「フェルミ推定」なので当たるも八卦、当たらぬも八卦だけれども。
「世界市場でシェア10%を取りたい」、という発言もある。つまり2012年には、Androidアプリ&コンテンツの世界市場が1000億円、と推定する。
AdMobの推定によれば、2009年8月時点でのAndroidアプリ市場規模は6000万ドル(1ドル100円で換算して、約60億円)とある(関連リンク)。ちなみに同時期のAppleのAppStoreの売り上げは年間24億ドルとのことだ。
Androidアプリ世界市場が2009年8月時点で60億円規模として、2012年度(2013年3月)に1000億円規模に成長するには、平均で毎年2.25倍の成長が必要だ。
そして、「国内出荷台数で1年あたり2倍、世界アプリ市場で1年あたり2.25倍」は、今のAndroidの勢いを見ていると、そうおかしな数字ではないような気がする。今後、NECビッグローブ以外にもAndroidアプリ/コンテンツのビジネスに乗り出す会社が出てくるかもしれない。
訂正:
成長率という表現をやめ、「1年で2倍」「1年で2.25倍」との表現に改めました。
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