« Oracle-Google訴訟についてBlogメディアPublickeyに寄稿しました | Main | Oracleの対Google訴訟にJavaの父Gosling氏が2度目のコメント、「Googleは自由を求め、互換性に注意を払わなかった」 »

Androidマーケットの有料アプリ販売はまだ厳しい──有料アプリの76%は販売本数50未満、値付けの最頻値は0.99ドル、キャンセル率20〜30%

ITproに、「日本Androidの会」8月定例会のレポートを寄稿しました。特に注目して欲しいのはAndroidマーケットでの有料アプリの体験談です。

新端末Galaxy Sのタッチ&トライ、有料アプリ販売の体験談---日本Androidの会8月のイベント:ITpro

追記:この記事は公開当日のITpro記事ランキングで「1位」でした。ありがとうございます。

記事に書ききれなかった分を以下に補足しておきます。

まず、Androidの急進撃は続いています。GoogleのシュミットCEOの発言によれば、1日20万台のAndroidスマートフォンが売れている(アクティベーションされている)とのこと。またニールセンの調査によれば、2010年第2四半期のスマートフォン市場におけるAndroidのシェアは27%で、これはiPhone OS(iOS)の23%を上回っています。
Androidマーケットに登録されているアプリは、2010年7月に10万本を越えたと推定されています。一方、iPhoneアプリの本数は、2010年6月7日のWWDCでの発言では22万5000本です。Androidマーケットからのダウンロード数は、11億4800万件。1日86万件がダウンロード数されています。

ここから先は実際にAndroidマーケットで有料アプリを販売した体験に基づく報告です。飯塚康至氏(ビジネスブレークスルー大学専任講師、エーシーエル代表取締役)の調査と体験から、以下の事が分かりました。


  • 50の壁。有料アプリの76%は販売本数50本未満にとどまる。
  • 99の法則。有料アプリの値付けの最頻値は0.99ドルと安価。次が1.99ドル。値付けへの下方圧力は強い。
  • 30の事実。実体験では、有料アプリのキャンセル(返品)率は34%と高い。
  • 有料アプリの比率は43%。
  • 英語圏が圧倒的に優勢。コメントの分布を見ると、英語によるコメントが81.3%、日本語によるコメントは1.1%。アクティブユーザーは英語圏に集中している。
  • ドル建てが優勢。有料アプリの値付けは、ドル建て、円建てなどを選べるが、ドル建てが70.86%、ユーロが13.89%、UKポンドが9.20%、円が6.05%.
  • 日本が強いのはコミック。コミックのカテゴリでは円建てアプリが54%と過半数を越えている。

このように、有料アプリで稼ごうと考えている人にとって厳しいデータが並びます。

有料アプリの情報は、Androidマーケットだけでは埋もれがちなことから、飯塚氏は次のサイトをWikiにより構築、運用中です。アプリ作者、アプリのユーザーが自由に作成、編集できるようになっています。

Google Android 有料アプリ紹介&レビュー

続いての発表は「Ks Launcher」などのアプリの作者として知られるKUGO氏によるもの。以下のような経験に基づくデータが語られました。


  • 有料アプリ「カレンダーステータスバー」の販売本数は3000本。値付けは100円。
  • 無料のトライアル版を用意している。こちらは1万5000ダウンロード。
  • キャンセル率は約2割。無料のトライアル版を試してから購入するユーザーが多いためか、前出の飯塚氏の経験よりキャンセル率が低い。
  • Androidマーケットの「おすすめアプリ」表示順位4位の段階で、販売本数800本だった。まだ市場規模が小さいのかもしれない。
  • 問い合わせメールは意外と多い。6割は「100円て何ドル?」「カード決済ができない」など内容とは関係がない問い合わせ。Androidマーケットの決済機構は意外とトラブルが多い。
  • 売るための戦略として、無料のトライアル版はお勧め。Androidマーケットの説明文は325文字しかなく、この短い説明文だけで買ってもらうことは難しい。また、有料アプリは購入後24時間はキャンセルできるので、この間に試用してもらうという考え方もあるが、「カレンダーステータスバー」は日付が変わらないと動作が見えないので24時間では評価が難しい(笑)。

データで見る限り、Androidマーケットでの有料アプリ販売は、個人開発者にとっても採算ラインに載せるのはまだ難しい部分がありそうです。とはいえ、「日本で作ったアプリが少しでも海外で売れて、外貨を稼いでくれるのは嬉しい」、「個人としてアプリが売れることは嬉しいし、楽しい」との意見もあります。

Androidマーケットは、「無料アプリの天国」だと思います。力の入ったアプリが多数、無料で手に入ります。その中で、有料アプリを販売することは、特別な困難さがあると思います。

そして、Androidの大きな魅力は、勢いがあり、動きが速いことです。Androidマーケットの状況も、おそらく半年もすればまた大きく変わっているのではないかという予感があります。よいアプリを作る能力を持った開発者が収益を上げる手段がこれから充実することを期待しています。

|

« Oracle-Google訴訟についてBlogメディアPublickeyに寄稿しました | Main | Oracleの対Google訴訟にJavaの父Gosling氏が2度目のコメント、「Googleは自由を求め、互換性に注意を払わなかった」 »

Comments

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference Androidマーケットの有料アプリ販売はまだ厳しい──有料アプリの76%は販売本数50未満、値付けの最頻値は0.99ドル、キャンセル率20〜30%:

« Oracle-Google訴訟についてBlogメディアPublickeyに寄稿しました | Main | Oracleの対Google訴訟にJavaの父Gosling氏が2度目のコメント、「Googleは自由を求め、互換性に注意を払わなかった」 »