私が目撃したジョナサン・シュワルツSun新CEO
Sunの新CEOジョナサン・シュワルツ(Jonathan Schwartz)氏は、印象に残る人物である。だが、日本のマスコミの前に現れたことはまだなかったと思う。従って日本語で読める記事は少ない。
私は、たまたま過去3回のJavaOneを中心に、ジョナサン・シュワルツ氏を目撃するチャンスに恵まれた。このエントリではその印象を少々。
* *
まず事実関係から。
2006年4月24日付けで、Sun Microsystems社の取締役会はCEOとしてジョナサン・シュワルツを任命した。前CEO職のスコット・マクニーリ(Scott McNealy)は会長職に留まる。
・英文プレスリリース
・www.sun.com掲載記事
・日本語プレスリリース(抄訳)
・Jonathan's Blog
・Jonathan's Blog日本語訳
以下、私が日経BP時代に書いたジョナサン・シュワルツに関する記事を題材に。
2003年
【JavaOne2003速報】Javaにオープンソースの活力を,開発者サイトjava.netを公開
ジョナサン・シュワルツのJavaOneデビュー。このJavaOneでは、いきなりSun側のメッセージが明解になった(「いきなり」とは、それまでのSun側のメッセージに比べ、非連続的な変化があったという意味合い)。
例えばEoD(Ease of Development、開発の容易さ)はこのJavaOneで出たキー・メッセージだ。その後JSFやCreator、EJB3などの形で具体化されていく技術トレンドに「EoD」という名前を付けたことで、Java技術が目指す方向性がクリアになった。ちなみにスクリプト言語連携(JSR 223)もこの年に出てきたコンセプト。
Javaのロゴもこの年に変わった。従来のロゴよりシンプルで、画面サイズが小さなデバイスでも目立つようになった。
基調講演で見せた「Amazon APIをJavaクライアントから使うデモ」は、今から考えるとWeb2.0的なテイスト(笑)だ。
このJavaOneでは、グループ・インタビューでジョナサン・シュワルツを囲む機会があった。育ちが良さそうな「いい奴」だった。髪型はポニーテールだが。
ただしインタビュー相手としては難物だ。例えば「あなたの会社は事業部別売り上げを好評していないが、サーバー部門とソフトウエア部門の売り上げはどうなのか」といった質問が出た。質問者は当時ZDNet(現アイテイメディア)の浅井氏だったと思う。ジョナサン・シュワルツは名刺を見て「お前の所はZDNetか。エディトリアルとアドバタイズメントの比率は公表しているのか?」。
彼は記者会見での質疑応答でも、この種の「煙に巻く」レトリックをよく用いる。記者としてはやりにくい。
Java発展を狙うSunの“超”積極策──その真意と死角を探る
ジョナサン・シュワルツとの「ファースト・コンタクト」の印象を自分流にまとめようとした記事。今読むと肩に力が入りすぎだが、それだけインパクトがあったということだ。
ジョナサン・シュワルツに関しては、以下のように言及。
「Schwaltz氏の語りは,他のSunの役員に比べ,2~3倍の密度がある。しかも,難解かつ切れがいいレトリックを使いこなす。明らかに頭がいい。
Sunの古株社員で,Sun Laboratories副社長兼フェローであるJim Mitchell氏は,記者の質問に「Sunの戦略が変わったって? みんなJonathanのアイデアだ。彼はいい奴だ!」と語った。なお, Jonathan Schwaltz氏本人は,記者陣の対して「戦略が大きく変わったとの見方には同意するが,それは皆がフル回転でボートを漕いだ結果だ」と語っている。
Jim MitchellはSunの古株。Sun社内でのジョナサン・シュワルツの評価が分かるというものだ。
Sunは何を考えているのか
2003年10月に書いたコラム記事。Sunの進めている戦略があまりにも理解されていないようだったので、自分流に書いた。今読むと当たり前の内容。
2004年
【JavaOne 2004】JavaOne04開幕,Sun新社長Schwartz氏が語る「Javaエコノミーの規模」
2004年6月、社長兼COO就任直後のJavaOneでの基調講演から。「ジョナサン節炸裂」のJavaOneとなった。「年間1000億ドル以上のJavaエコノミー」とは、主にウォール・ストリート(=投資アナリスト)向けの発言だろう。
「ウォール街はJavaを理解していない。Java部門を売却しろと言う」(2004年2月に日本で開催のJava Technology ConferenceでのSchwartz氏の発言より)。私はこのボヤキを聞いて「それはあなたの言ってることが難しすぎるからだろう!」と思わずツッコミそうになった。
2005年
【JavaOne05】「Javaは参加型の時代のインフラだ」,Sunのシュワルツ社長
「参加の時代(Participation Age)」はこのJavaOneで出たキー・メッセージの一つ。
「J2EEのイノベーションはオープンソースから」,JavaOneで見えた変化
2005年7月のJavaOne全体の印象。ジョナサン・シュワルツは「市民ジャーナリズム」の話が好きだ。既存メディアのワンパターンぶりが嫌いなのではないかと想像する。
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こうして見ると、ジョナサン・シュワルツ関連の記事を書く時には、かなりアツくなっている。あんな変な奴(失礼)が大企業の戦略を縦横無尽に操作していることに、素直に驚いているのである。
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気になっていることがある。一つは「ジョナサン・シュワルの側近を務めるのは大変だろう」ということ。Sunのマネジメント・チームは相当な回転数を強いられることになりそう。
彼の方針は難易度が高そうだ。特にソフトウエア製品では、有償だった製品を無償化したり、オープンソース化したり、と過激な政策が多い。そもそも、平凡な人間にとっては話についていくだけでもつらそうな感じ。
そのせいかどうか(?)、昨年にジョナサン・シュワルの後を継いでソフト部門トップに就任したJohn Loiaconoは、Adobeに引き抜かれてしまった。
もう一つ気になっていることは、JavaOneの記者会見には新CEOに質問するべく一般プレスやアナリストが詰めかけるだろうということ。「リストラはしないの?」とか「Linuxの成長にどう立ち向かうの?」といった質問に埋もれて、Java技術に関する内容は記者会見ではますます聞きにくくなりそうな予感がする。
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それはそうと、新CEOのお披露目は今年のJavaOneだ。何か「おみやげ」があると考える方が自然。素直に期待しておこう。
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