BEAが狙うのは、オープンソースと商用ソフトのブレンド戦略
昨日のエントリの続きです。
* * *
昨日は、「リーク情報」だけを拾って書いた。J2EE分野の大手であるBEAが、J2EEにとって破壊的なイノベーションとなる可能性があるRubyをサポートするかも? というリーク情報であり、私にとっては大きなサプライズだった(一緒に驚いてくれた人も、周りに結構な人数がいたようである)。
ネット企業の例で説明すると「MicrosoftがGoogle APIを積極サポートすると発表」したような話であった訳である(積極サポートって何? といった突っ込みはご勘弁ください)。
ただし、これはリーク情報であり、「結果として、やっぱり発表しませんでした」となる可能性もなくはない。
今回のエントリでは、BEAからの主要発言を記録に留めておきたい。昨日のリーク情報も、このメッセージの文脈の中で理解されるべきものだ。
* * *
2006年4月18日、都内で開かれた開発者向けイベント「Dev2DevDays2006」の場で1日を費やして語られた内容が「ブレンド・ソリューション」。
BEAは、アプリケーション・サーバー・インフラのWebLogic Platformと、ビジュアルな開発環境を備えたツールWorkshopを持っている。
WebLogic Platformは、オープンソース製品(TomcatやJBoss)に比べ、よりエンタープライズ・ユーザーの要求に合致した(=好みに合う)管理機能、トランザクション管理機能を備えている。Struts、Spring、Hibernateというオープンソース製品でシステムを組む場合にも、インフラとして有用だ。
Springの開発者Rod Johnson氏は、昨年のJavaOne2005でBEAの基調講演に登壇するなど、最近仲が良い。
Workshopは今後、最近買収したM7社の製品「NitroX」をマージすることで、StrutsやSpring、Hibernateなどオープンソース製品による開発をビジュアル開発環境で支援する機能を備えるようになる(Dev2DevDaysでは、統合のロードマップも示している)。
この両製品を武器に、Struts、Spring、Hibernateという「SSH」でシステムを組む場合にも、BEAの製品を買った方がいいですよ、と売り込む訳である。
* * *
昨日の記者会見でのBill Roth氏のプレゼンテーション中、次のような話があった。「オープンソース製品が含む問題に対して、もし訴訟が起きた場合、BEAは顧客に替わってそれを引き受けるのか」と質問したアナリストがいたという。「答えはイエス」だそうである。
* * *
Bill Roth氏に次の2点の質問をした。
Q.BEAは、オープンソース製品に関するサービスで稼ぐのか。それとも自社ソフトウエア製品を売ったライセンス収入で稼ぐのか。
A.ライセンス収入が重要だ。なぜか。私は開発者だが、ビジネス人でもある。ソフトウエア・ビジネスの利益率は30%、サービス・カンパニーの利益率は10%。ソフトウエア・ビジネスの方が有利だ。
私の事業部門のWorkshopを売りたいことはもちろんだが、顧客にとって最適なものを売る。Workshopは、あるレベルまでは無償で提供するが、開発者にとってより価値が高い機能を備える製品に対しては、なんらかの見返りが欲しいと考えている。
Q.IBMもオープンソース戦略に熱心だが、BEAの戦略はどう違うのか。
A.IBMの戦略はよく分からないが「シャベル・ストラテジ」のようだ。自分たちのビジネスに影響を及ぼさないような製品を、ショベルでガバっと放り投げるようにオープンソース・コミュニティに寄贈している。BEAがオープンソースに関わる場合は、私達のソフトウエア・ビジネスにとって妥当だと思う場合だ。
ただし、IBMの取り組みはすばらしい。Eclipseは、私達も活用している。IBMのリサーチ・ダラーのおかげで、私達の製品開発の投資が軽減されたといえる。有り難いことだ。
* * *
IBMやSunと違って商用ソフトウエア一本で生きているBEAにとって、オープンソースはより切実な問題だ。
オープンソース製品に熱心なのは、まず開発者だ。
エンタープライズ・ユーザーは、オープンソースの価値を認めつつ、ミッション・クリティカル分野での実績がある商用ソフトウエアにも未練を残している。
開発者と、エンタープライズ・ユーザーの両方の層が「商用ソフトウエアとオープンソースのブレンドに意味がある」と認めるなら、BEAの戦略は機能するはずである。もちろん簡単な道ではないが。
The comments to this entry are closed.

Comments