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January 2005

ジャーナリズムと飢饉

「ジャーナリズム」という言葉の値打ちは最近どんどん下がっているらしい。私も記者の端くれ。人ごとではない。

自問自答してみる。メディア、ジャーナリズム、そして「自由な言論」はなぜ必要なのか?

私が最もインパクトを受けたのは、インドの経済学者アマルティア・センの研究だ。彼はこう言う。第2次世界大戦の後に大飢饉が起きた国では、例外なく自由なメディアが機能していなかった、と(『貧困の克服―アジア発展の鍵は何か』、集英社新書)。

飢饉という現象は食糧不足が原因で起こるのではない、とセンは言う。不平等な社会で、生きていくのに必要な権利を剥奪されたグループの人達が、飢饉の犠牲者となる。飢饉とは、不平等がある所に起きる現象なのだ。

過度な不平等がある所で、人が死ぬ。

不平等とは、単なる経済的な格差ではなく、アクセスできる「情報」の格差でもある。

もちろん「言論が飢饉を救う」といった「近似的な/まるめた」理解で満足してはダメだ。メディアが機能することは、その社会が健全であるかどうかを判断する指標なのだ。

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近似しきれないもの

「近似値」で判断する人は多い。

「まるめる」とか、「約・・・」とか、「およそ」という概念(=近似)は、もちろん大事だ。近似とは、少ない情報量でおおむね正しい結論を出すことだ。多くの場合、その方が作業の効率が良い。平均的な水準の成果を出すには良い戦略だろう。

しかし、その一方で「近似しきれない部分にこそ新たな発見の種がある」とする立場がある。

他人が手を付けていない物事を発見するには、近似しきれない部分に注目することが良い戦略だ。
(注: これは単に「精度を上げましょう」と言っているのではなくて、今まで無視していた領域や、既存理論に合わないデータに注目することが、発見のための戦略となりうることを言っています)

この戦略は、もちろんサイエンティストやエンジニアにとっては当たり前のことだが。

別の言い方で言えば、「みんながこう言っていた」、「みんながそうしている」という判断だけでなく、自分の違和感や直観を追求してみる方が競争優位に立てる場合があるのだ。

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進化したサルは眼がいい

動物が生き延びるために必要なことは二つ。他の生物を食べることと、他の生物に食べられないことだ。動物の情報処理能力は生き延びるために発達した。

以下、NHKスペシャル「地球大進化」で得た知識。

真猿類は、眼球の「揺れ」を低減してシャープな視覚を得るための「眼窩後壁」を備えている。そして、網膜の上に視細胞が集まった領域「フォベア(中心窩)」を備えているのは真猿類だけ。つまり進化したサルほど眼がいい。

むしゃむしゃと物を食べているとき、眼窩後壁を持たないサルはアゴの動きにつられて眼球が揺れ、視界がぼやける。またフォベアを持たないサルは、シャープな視界を得ることはできない。

一般的な哺乳類は色覚細胞を二色しか持たない。三色性の色覚を持つ哺乳類は昼行性の霊長類だけ。色覚は、世界の乾燥化が進む中で色が違う葉っぱを見分け、より多くの食料を得るための機能だった。

シャープな視覚、両眼を使う立体視、フルカラー映像と、より多くの視覚情報を処理する能力を霊長類は発達させた。

眼がいいことは、生き延びる上で有利だったからだ。

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宇宙はデジタル情報でできている

一部の物理学者たちは「宇宙はデジタル情報でできている」と言い始めている((『日経サイエンス』2005年2月号の「計算する時空」)。

この宇宙で起きるすべての物理現象はデジタル情報処理として説明できる。

最近、ホーキングはブラックホールに吸い込まれた情報は出てこない、という理論を修正して「情報も出てくる」ということになったそうである(←完全に伝聞形で書いています)。ブラックホールも情報処理をするコンピュータだ。

上の記事を読む限りでは、この理論は「宇宙を理解する」ための枠組みであって、工学的な応用に関する言及はない
(例えば「量子コンピュータ」への直接の言及はない)。

この記事から得た知識。重量1kgのブラックホールの情報量は10の16乗ビット。宇宙の全情報量は10の123乗ビット。情報とは有限の資源だ。

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私たちは情報を食べて生きている

私たちは「情報」を食べて生きている。だから、ここでは「情報」についての覚え書きを時々書くことになるだろう。

「情報」という言葉の意味は、使う人の文脈によってまちまちだ。だから、このエントリではカッコ付きで「情報」という言葉を使う。

意味付けがどうであれ、「情報」とは、まず生き延びるため、世界を理解するために必要なものだ。

「情報」を扱わない限り私たちは生き延びることはできない。食べること、子孫を残すこと、すべて「情報」が関係するからだ。

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ご挨拶

星 暁雄です。仕事はIT系の記者。Java技術を取り巻く分野に特に注目しているので、自分では「Java記者」と言っています。新しい技術に取り組む人達の話を聞くことが好きです。

このBLOGでは、仕事の範囲を外れた雑文を書いていく予定です。まずは自分のためのメモ書きから始めます。「情報をめぐって」が当初のテーマですが、途中でいろいろ脱線したいとも思っています。

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